アライコウのノベルゲーム研究所

ゲームライター・アライコウのノベルゲーム研究に関するブログです。

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

飯野賢治の幻のデビュー作?『十和田湖殺人事件』とは何だったのか

『Dの食卓』『エネミー・ゼロ』などで知られる夭折の天才ゲームクリエイター、飯野賢治氏(1970年5月5日 - 2013年2月20日)がまた話題に上ることが多くなった。 没後10年の節目で様々な特集記事が公開されてきたし、グラフィックなしのゲームとして話題を集…

『ポートピア連続殺人事件』PC版の発売月をランキングから推測する

はじめに AUTOMATONの調査記事 売上はいつランキングに反映されるのか ポートピアのランキング初登場 注意すべきランキングの集計期間 まとめ はじめに 昔のPCゲームは発売日が正確にわからないものが少なくない。 何月かまではわかっても日にちまでは特定し…

国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選 第4回『ポートピア連続殺人事件』

『ポートピア連続殺人事件』(エニックス、PC-6001、1983年) 発売元:エニックス初出:1983年 『ドラゴンクエスト』シリーズのゲームデザイナーとして有名な堀井雄二氏の、出世作となったコマンド入力型サスペンスアドベンチャー*1。 フリーライターとして…

国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選 第3回『スパイ大作戦』

『スパイ大作戦』(ポニー、PC8001、1982年) 発売元:ポニー初出:1982年 徐々に発展していくコンピュータゲームの世界には、異業種からの参戦も決して珍しくなかった*1。 そのひとつとして名乗りを上げたのがポニー(現ポニーキャニオン)。音楽や映像関連…

国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選 第2回『ミステリーハウス』

『ミステリーハウス』(マイクロキャビン、1982年)※画像はMSX版(1983年) 発売元:マイクロキャビン初出:1982年 この作品に触れるにあたっては、必ず最初に前置きが必要である。 1980年、アメリカの新興企業Sierra On-Line*1が発表した『Mystery House』…

国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選 第1回『表参道アドベンチャー』

『表参道アドベンチャー』(アスキー、PC8001、1982年) 発売元:アスキー初出:1982年 日本のノベル・アドベンチャーゲームの歴史は、一冊の雑誌から始まった。『月刊アスキー』1982年4月号、その付録である年刊AhSKI!2号にて、国産アドベンチャーゲームの…

【予告】「国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選」の連載開始について

1975~1976年頃にウィリアム・クラウザーが開発した『Adventure(Colossal Cave Adventure)』からアドベンチャーゲームというジャンルが始まった*1ことは、この分野の歴史に関心のあるユーザーや研究者ならご存じのことだと思う。 そう、もうすぐアドベンチ…

伝説のゲームプロデューサーに聞いてみた! 世界初『ミシシッピー殺人事件』インタビュー

実は画期的で好評だった? 『ミシシッピー殺人事件』再評価論:前編 実は画期的で好評だった? 『ミシシッピー殺人事件』再評価論:後編 『ミシシッピー殺人事件』(原題:MURDER on the MISSISSIPPI)の再評価を試みる論考を行ってきたが、これだけでは不足…

実は画期的で好評だった? 『ミシシッピー殺人事件』再評価論:後編

前編では『ミシシッピー殺人事件』(原題:MURDER on the MISSISSIPPI)の各機種の比較をし、オリジナル版が移植版より比較的優れており、システム的にも凝った作りであることを見てきた。 この後半では、『MURDER~』が発売されるまでのアドベンチャーゲー…

実は画期的で好評だった? 『ミシシッピー殺人事件』再評価論:前編

『ミシシッピー殺人事件』。 40代以上のゲーマーであれば多くの人が聞いたことがあるだろう。もっと若くてもレトロゲームが趣味で知っているという人や、なんとなくのイメージだけある人もいるかもしれない。 1986年10月31日にジャレコから発売されたファミ…

『いえのかぎ』レビュー:児童の権利、そしてクズの権利。この主人公だから成立したノベルゲーム

© 活動漫画屋 本記事は2018年5月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 この作品について、当時大きな議論が巻き起こったのを覚えている方も多いだろう。 あれから時が経ち、「表現の自由」にまつわる議論がさらに頻繁に交わされるように…