メッセージウィンドウの第一の役割は、テキストを読みやすくすることだ。
逆に言えば、テキストの可読性が十分保たれているならば必ずしもメッセージウィンドウを用いることはない。
『Life is Strange』は主人公を画面上で動かし、会話の際も頻繁にカメラが切り替わるタイプのアドベンチャーゲームだ。洋画の字幕のように背景に直接テキストを表示し、誰がしゃべっているかは自明であるので話者の名前は表示しない。これで読みにくいということはない。映画に近い雰囲気を出したいなら、この手法は非常に有効だ。
画面固定のオーソドックスなノベルゲームにおいても、メッセージウィンドウ非表示の作品はしばしば見られる。
『アオナツライン』はデフォルトでメッセージウィンドウが完全に透明になっている。設定で透明度を調整することはできるのだが、デフォルト状態が好ましいと開発者が考えているのは明白だ。
というのも、私はこの作品の原作PC版発表当時に感想を書いたことがあるのだが、ディレクターを務めた大地こねこ氏がそれを引用する形で「昔からメッセージウインドウはいらないと思ってる派」と書かれていたのである。
メッセージウィンドウは表示するが、名前ウィンドウ……と言うより名前自体を非表示にしている作品もある。
『サクラ大戦』シリーズは一貫してメッセージウィンドウ+顔ウィンドウという構成だった(ゲームデザインが変わった『新サクラ大戦』は除く)。これに名前ウィンドウも加えてしまったら画面のバランスが悪くなることは論をまたないだろう。
メッセージウィンドウや名前ウィンドウが必要か否かは画面全体のデザインはもちろん、クリエイターの創作スタンスでも変わってくる。いずれにせよテキスト自体の可読性には十分に配慮しなければならない。
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