非コマンドのフリーワードによる選択肢は『中山美穂のトキメキハイスクール』などのように1980年代から見られていたが、チュンソフトのサウンドノベルの登場によって一躍スタンダードとなった。現在も圧倒的にこのスタイルが主流になっている。
選択肢はいくつかのタイプに分類できる。本稿では3種類を挙げてみたい。
- 後の展開に影響する選択肢
- 後の展開に影響しないが、内容を整理するための選択肢
- 後の展開に影響しないし、ストーリー上特に重要でもない選択肢
1は特定のエンディング到達やキャラクターの好感度などに関わる、プレイヤーにとって慎重に選ぶべき選択肢。大半はこのタイプを配置していくことになるだろう。バッドエンディング直行がもっとも簡単なパターンだろうか。フラグのON / OFF、パラメータの上下変動などを組み合わせていくのは、開発者にとってやり甲斐のある仕事だ(不具合の温床でもある)。
2は知りたいことが複数あるが、一度にまとめてしまうとわかりづらいために設けられる選択肢。分岐の最後まで到達すると元の選択肢に戻る。ゲームのルールや込み入った状況の説明、事件現場の調査シーンなどで有効だ。すべての選択肢を選び終えれば先に進めるという処理が必要になる。
3は何を選んでもいい選択肢。そのようなものに存在意義はあるのかと疑問の人もいるだろう。これはいくつか考えられる。
- とりあえず選択肢を早めに見せておきたい。選択肢もゲームデザインの一部であるのだから、このゲームではこんな感じで表示されますよと序盤に披露しておくのは悪いことではないだろう。
- キャラクターのいろいろな反応を見せたい。普通、笑う、怒る、呆れる……ひとつの話題で主人公と対話相手の様々な顔を見せられる。
- セーブポイントとしての役割。熱心なプレイヤーは夢中になって読み進めるうち、1時間も2時間もセーブしないということがある。そこで選択肢があると「ここらでセーブしておこう」というインセンティブが働きやすい。なお、選択肢のシーンでオートセーブされる親切設計のゲームも多い。
何を選んでもいい選択肢というのは、その作品を豊かにする可能性がある。料理における副菜のようなものだ。なければないで、主食や主菜が十分ならば、さほどの不都合はないだろう。あまり盛り込んでしまうのは逆効果になるかもしれず、バランスを考えたい。
選択肢回りのUIは親切にしてしすぎることはない。フォーカス中にボタンを変化させるのは基本中の基本だ。一度選んだことのある選択肢はすぐにそうと判別できるようにテキストを灰色にする機能もよく採用される。
コントローラー操作の場合、ボタン連打で意図しない選択肢を選んでしまう可能性がある。選択肢が表示されたら、上下ボタンを押すことで初めてフォーカスされるようにすると事故を減らせるだろう。
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