発売元:ゲームアーツ
初出:1993年
これまで幾度か触れてきたように、CD-ROMはボイスと歌を実装可能にしたことで、アドベンチャーゲームにサウンド面で大きな進歩をもたらした。
やがて、テキストではなくボイスが大部分を占めるというアドベンチャーゲームも登場した。その最初期の代表例と言えるのがメガCDの『ゆみみみっくす』である。
主人公の吉沢弓美はごく普通の女子高校生。平凡ながら楽しく過ごしていたある日の登校途中、怪しげな物体を目の当たりにする。この日から弓美の前に次々に不思議なことが起こり始めて……。
公式ジャンル名はインタラクティブコミック。PCエンジン発のデジタルコミックを進化させたのだと言わんばかりだが、膨大な原画枚数によるアニメーションに目を見張る。
ストーリーはまさにテレビアニメを見ているように、プロの声優のボイスとともに自動的に進行し、この時にテキストは表示されない。ゲームの大半の時間はコントローラーから手を離していても差し支えないのだ。『スナッチャー』でもボイスのみで進行するシーンが多かったのだが、それをさらに突き詰めた形と言えるだろう。ポーズをかけることもできるので、ちょっと席を外したいというプレイヤーにも配慮している。
脚本・設定・絵コンテなど開発を全面的にリードしたのは『あおいちゃんパニック!』等で知られる少女漫画家の竹本泉氏。柔らかい絵柄、グラフィック全体の統一感、ドタバタで不思議で可愛らしいストーリー……メガドライブのアドベンチャーゲームの中でも、もっとも取っつきやすく実際のプレイも平易であることは間違いない。
注目点は他にもある。プレイヤーに求められる操作は時折表示される選択肢を選ぶことだけだが、非コマンドのフリーワード選択肢により物語の展開が細かく変わり(インタラクティブとはこのことを指している)、ゲームオーバーはなく3種類のエンディングがある――このような形式は1年前にスーパーファミコンで『弟切草』が登場していたが、まだ一般的ではなかった。
リプレイ機能も搭載されており、最初から最後にセーブしたシーンまで振り返ることができるのだが、この際にスキップが可能。当時のアドベンチャーゲームはスキップの必要性などほとんど考慮されていなかったことを考えると、隠れた先進性と言えるのではないだろうか。
ボイスとグラフィックの比重が相当高いため、プレイ時間は他作品と比べると短め。知名度もいまいちだが、これもまたアドベンチャーゲームの新たな形を示した佳作。1995年にはセガサターン向けに『ゆみみみっくすREMIX』としてリメイクされている。もし手に取るのならこちらがいいだろう。そして1997年には同じ竹本氏原作のインタラクティブコミック『だいな♥あいらん』がリリースされた。
©1992 竹本泉,GAME ARTS
