アライコウのノベルゲーム研究所

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国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選 第59回『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』

3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』(チュンソフト、PS2、2004年)
※画像は完全版(2005年)

発売元:チュンソフト
初出:2004年

 TBSで放送されていた有名学園ドラマ『3年B組金八先生』の名を冠する「ロールプレイドラマ」。チュンソフトがそれまで送り出してきたサウンドノベルの流れを汲む、声優・俳優による熱演を核にしたアドベンチャーゲームである。

生徒たちと触れ合い問題を解決していく

 サクラ中学の教師、坂本金八が一年間入院することになってしまった。そこで金八先生の教え子である若手教師の主人公が代理として赴任することになった。3年B組の新担任となった彼は、生徒たちの様々な問題を解決しながら卒業式までの一年間を過ごすことになる。

マップを移動し集めたイベントカードを使用していく

 マップを移動しながら生徒や教師とコンタクトを取っていくのは見慣れた手法だが、選択肢に工夫がある。通常の選択肢ではなく、所々で入手したイベントカードで会話を進めていく。最適な相手に最適なイベントカードを提示しなければ先に進むことはできない。あまりモタモタしていると時間切れとなり、問題を解決できずバッドエンドになる。この際に金八先生のお説教をもらうというおまけ付きだ。とはいえ全体的な難易度はそう高くない。

 また、本作は2つの点でテレビドラマのスタイルを採り入れている。1つ目は一話完結方式。各話はそう長くなく、最善の選択肢を選んでいけば1時間程度で終了する区切りの良さだ。最後にはしっかり次回予告を用意しているのが好ましい。2つ目はキャラクターの会話時にテキストを表示しないこと(ただしポーズをかけるとログでテキストを閲覧できる)。モブキャラクターさえもフルボイスという、この当時はそう見られなかった豪華さで会話劇が展開していく。通常の立ち絵CGだけでなく、フルアニメーションのシーンも随所にある。実写ではない以外はテレビドラマの作風をかなり実現できているのだ。

ボイスのみで進行するがログでテキストを閲覧できる

 肝心の金八先生はずっと入院しており、病院でアドバイスを授けてくれる以外はほとんど出番がない。実のところ彼がいなくても成り立つ作品になっている。というのも企画の立ち上げ当初は金八先生とはまったく無関係な学園ものだったのだ。しかし漠然と金八先生のイメージを持っていたプロデューサーの中村光一氏が『かまいたちの夜』の実写ドラマ版でTBSと仕事をした際に、金八先生の名を借りられないかと打診してOKをもらえたという経緯である。

 原作ドラマは受験戦争、校内暴力、学級崩壊、いじめといった社会問題をテーマにして視聴者をのめり込ませた。比較すると本作はシリアスもあればコミカルもあり、大部分がマイルドなストーリーになっている。しかし終盤には、逆に原作ドラマではとてもありえない、ゲームらしいラスボス的キャラクターが登場する。このキャラクターがサクラ中学の日常を崩壊させていく様は、一流のサスペンスでありミステリー。『弟切草』以来このジャンルで鳴らしたチュンソフトの面目躍如というところだ。

 残念ながら売上は振るわなかったが、全体的に非常に高レベルでまとまっている。金八先生要素が薄いのは、原作ドラマを知らなくても楽しめるとも捉えられるだろう。テレビドラマ風アドベンチャーのひとつの手本として覚えておきたい作品だ。

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【参考文献】
『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 公式パーフェクトガイド』(エンターブレイン、2004年)