アライコウのノベルゲーム研究所

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国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選 第70回『レイトン』シリーズ

レイトン教授と不思議な町』(レベルファイブ、DS、2007年)

発売元:レベルファイブ
初出:2007年

 ニンテンドーDSの初期ラインナップに『脳を鍛える大人のDSトレーニング』(2005年、任天堂)というものがあった。タッチペンとタッチスクリーンの機能を活かしたこのソフトは脳活性化を謳い、ビデオゲームに馴染みのない層にも普及し大ヒットを記録した。同機種のキラーソフトとなり、脳トレという言葉自体が当時の社会現象ともなったのだ。
 この脳トレ要素を盛り込み同じく大ヒットを記録することになるのが、ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー『レイトン』シリーズである。

依頼を受けるレイトン教授

 考古学を専門とする大学教授のエルシャール・レイトン。彼は「ナゾ」をこよなく愛する英国紳士であり、広く世に知れ渡っていた。そんな彼が、弟子を自称するルーク少年とともに数々の事件に遭遇し、「ナゾ」を解きながら真相に迫るというのが本シリーズのあらまし。
 計算問題やパズルを解きながらストーリーを進めていく――これ自体は昔からあるアドベンチャーゲームのスタイルのひとつだが、『レイトン』シリーズは脳トレを明確にテーマにしているというのが特徴だ。レベルファイブの代表を務める日野晃博氏は、心理学者である多湖輝氏の著したパズル本『頭の体操』シリーズのファンだった。

そうして先生をお訪ねしたところ、多湖先生は『頭の体操』をゲームにしたいという希望をもっていらしたんです。私ももともと『頭の体操』のファンだったわけですから、「じゃあ、それで行きましょう」と進めていきました。

――「巻頭スペシャルインタビュー日野晃博」『レイトン教授の秘密の本 シリーズ三部作公式ファンブック』P3

オリジナルから古典パズルまで様々なナゾ解きが

 デビュー作『レイトン教授と不思議な町』は、大富豪の未亡人から遺産相続にまつわる依頼を受けるがその最中に殺人事件に遭遇するという内容。
 事件の解決を目指すレイトン教授は、行く先々で町の住民からナゾを投げかけられるが、それらを喜んで解いていく。プレイヤーも彼に同調し、「今は大事な用事があるのに!」などという気持ちにはさせられない。ここにリアリティを排した生粋のファンタジーがある。
 ナゾは解答必須のものもあるが、そうでないものは難しければ後回しにしてもいい。そもそも画面に隠されたナゾの存在自体に気づかないこともある。こういった仕組みは従来の謎解きアドベンチャーには見られないものだった。ストーリーはもちろんだが、あくまでも頭の体操をマイペースで楽しんでほしいという開発陣の考えによるものだ。それでいてラストシーンでは、ナゾを散りばめた町全体の秘密が明かされるという妙味がある。

 西洋を舞台にした子供から大人まで安心してプレイできる作風と、絶妙な難易度のパズル。この組み合わせは大好評を博し、次々にシリーズが作られることになった。第5作目に当たる『レイトン教授と奇跡の仮面』(2011年)は、ニンテンドーDSの新型モデルであるニンテンドー3DSのローンチタイトルにも抜擢されている。ゲーム以外の商品も多く発売されたが、年少者向けの漫画や玩具の展開は他のアドベンチャーゲームにはそう真似のできないことだった。

レイトン教授VS逆転裁判』(レベルファイブ、3DS、2012年)

 また『逆転裁判』シリーズとのコラボレーション『レイトン教授VS逆転裁判』も話題となった。奇妙な世界に誘われたレイトン教授と成歩堂が、魔女と魔法を目の当たりにする。ふいに出会った両者は力を合わせ、魔女容疑をかけられた被告人を助けるため真実を明らかにするというストーリー。ナゾ解きと法廷パートが交互に進み、常識では考えられない事件が次々に発生するが、常に冷静な英国紳士であるレイトン教授の頼もしさが際立っている。何かとピンチ体質だが正義の情熱を燃やす成歩堂との相性も抜群だ。

 2017年にはレイトン教授の娘であるカトリーエイルを主人公とした『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』が発売。これを原作としたテレビアニメも放映されるなど、人気は長く続いた。海外でも評判を得ており、世界累計出荷本数1,900万本以上という数字を成し遂げている*1。『逆転裁判』シリーズと並び、本邦アドベンチャーゲームではトップクラスの知名度なのだ。
 そして現在は久しぶりの完全新作『レイトン教授と蒸気の新世界』が2026年にNintendo Switch2向けに発売予定で、鋭意開発中となっている。

【参考文献】
『レイトン教授の秘密の本 シリーズ三部作公式ファンブック』(小学館、2009年)

© LEVEL-5 Inc.

*1:公式サイトより。
https://www.layton.jp/