発売元:コナミデジタルエンタテインメント
初出:2009年
コナミの恋愛シムといえば言わずと知れた『ときめきメモリアル』シリーズだが、彼らは2000年代末にもうひとつの代表作を世に放つことになった。据え置き機から携帯型ゲーム機にプラットフォームを移した『ラブプラス』である。
プレイヤーのあなたは、新しく引っ越してきた街で運命的な出会いを経験する。
同学年で、文武両道の優等生。
下級生で、孤高な図書委員。
上級生で、バイト先のファミレスの先輩。
はたしてあなたは、彼女たちと告白という日を迎えることができるのだろうか……。
これだけ切り出せば、よく見られる恋愛ものだろう。
一日が始まる前に行動を決めて各種ステータスをアップさせていき、目当てのヒロインの好感度を上げるためにイベントを発生させていくというよくあるシステムを採用しているが、本作は告白前の「友達パート」と告白後の「恋人パート」の二部構成となっており、『ラブプラス』が評判を得た最大の要因は後者にある。
そもそもゲームボーイに始まる携帯型ゲーム機の恋愛作品は、『ときめきメモリアル』はじめ据え置き機やPC美少女ゲームの移植版などはあれど、オリジナル作品となると2000年代末となっても例は少なかった。このジャンルに求められる美麗なグラフィックのキャラクター、華やかなボイス、時にはやり応えのあるシステム。それらはマシンパワーのある据え置き機やPCでこそ堪能できるもので、携帯型ゲーム機で最初に出そうという発想はあまりなかったのだ。
そんな中で完全新規IPである『ラブプラス』は、当時最新鋭であるニンテンドーDSならではの工夫を見せた。恋人パートに移行してからできることは様々あるのだが、タッチ操作を活かしたスキンシップ機能が最大の特徴だ。手元に持ったDS本体と間近に向かい合い、画面上のヒロインをくすぐるようにタッチしていく。上手くいけばキスもできる。これはPCのマウス操作や据え置き機のコントローラー操作では味わえない、自分のカノジョという感覚をいっそう強くするものだった。
また『ラブプラス』は恋愛ゲームとしては珍しく、DS本体を縦持ちしてプレイする。当時普及の途上にあったスマートフォンを先取りするようなプレイフィールをもたらしていたことは注目に値するだろう。文字情報はおおむねサブ画面に集中させ、メイン画面はヒロインの描画に費やすというUIはプレイヤーの没入度向上に大きく貢献している。
本作はヒロインとの1対1の関係を構築する。つまり他のヒロインを並び立たせる必要がない。これが実は縦画面との相性がいい。画面が横向きであるよりも、ヒロインの姿を大きく描画できるからだ。
そして時計機能を活用した「リアルタイムモード」。プレイヤー自身の時間と恋人の時間をリンクさせることで、より現実感のあるプレイを楽しめる。日付に応じたイベントが発生したりするが、デートの約束時間に起動していないとすっぽかしてしまうなどのリスクもある。現実時間と連動させる恋愛ゲームは『ROOMMATE 〜井上涼子〜』などの先行例があったが、持ち運びできスリープ機能のあるDSなら外出先でも枕元でも、同じ時間を共有するカノジョと気軽に触れ合える。従来の恋愛ゲームよりも格段に距離が近くなったことは革新的だったのだ。
このように様々な独自の工夫を凝らしたのが奏功し(もちろんキャラクターデザインも抜群に良い)、多数のマスコミに取り上げられるなど恋愛ゲームとしては異例の注目を浴びた。
その後マイナーチェンジ版『ラブプラス+』(2010年)、根本から作り直したニンテンドー3DS版『NEWラブプラス』(2012年)、そのマイナーチェンジ版『NEWラブプラス+』(2014年)とシリーズが発売された。さらにソーシャルゲーム版も展開したのだが、こちらは残念ながら短命に終わっている。近年は目立った動きがないが、この有力IPはまだ可能性があるだろう。
© 2009 Konami Digital Entertainment
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