アライコウのノベルゲーム研究所

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国産ノベル・アドベンチャーゲーム200選 第83回『FOREVER BLUE 海の呼び声』

FOREVER BLUE 海の呼び声』(任天堂、Wii、2009年)

発売元:任天堂
初出:2009年

 2007年に任天堂から発売されたWii用ゲーム『FOREVER BLUE』は、新機軸の意欲作だった。「海中散策」というジャンル名で、広大な海の中を自由に泳ぎ回り、魚や動物たちと触れ合える――こういった作品は『アクアノートの休日』(アートディンク、PS、1995年)などの先行例があったが、Wiiリモコンの特性を活かしたダイビング操作や、美しい映像による癒やし要素などが一定の評価を得たのだ。
 一方でストーリーに乏しくゲーム性もさほどではなかったのだが、これらを大幅に強化した続編『FOREVER BLUE 海の呼び声』は、ジャンル名も「ダイビングアドベンチャー」と改めた正統進化の冒険ものに仕上がっていた。

 環太平洋を中心に広く伝わる「竜の歌」伝説に興味を抱いた主人公は、大学を休学して南太平洋バオウル共和国を訪れ、世界的海洋冒険家のジャン=エリックが営むRARダイバーズサービスの一員となった。そして仕事の初日、ジャンの孫娘オセアンヌとのダイビングの途中、彼女の持つペンダントが不思議な音を出して……。

広大な海を移動して生き物たちを見つけていく

 冒頭で述べたように、本シリーズの魅力は広大で美しい海中を舞台にしていることだ。大小の魚や海獣、珊瑚礁などが息づく水のオープンワールドを、プレイヤーは興味の赴くままに動き回ることができる。前作では明るい南太平洋のみを泳げたが、本作は北極に南極、アマゾン川までもが冒険の対象となる。その雄大かつ崇高、加えて危険な大自然の描画には思わず息を飲むほどだ。

生き物たちは図鑑に登録されていく

 発見した生き物たちは『ポケットモンスター』シリーズよろしく次々に図鑑に登録され、これらを埋めていくだけでも非常に楽しい。他にも海底に沈んだ財宝をサルベージしたり、水中カメラでお気に入りポイントを撮影できたり、水族館の運営に協力したり、RARダイバーズサービスに舞い込む依頼を請け負ったりと、可能なことは多岐に渡る。メインストーリーはそこそこ進める程度でも十分に遊び甲斐があるのだ。

謎に満ちた「竜の歌」伝説

 しかしそのメインストーリーにも大きな吸引力がある。海難事故で亡くなった父の夢を追いかけたいと望むオセアンヌと、孫娘の安全を何よりも願うジャン。「竜の歌」伝説とはいったい何なのか。水の世界のリアルとファンタジーが実によい塩梅で提示され、プレイヤーは良質な映画を見るようにのめりこめる。
 なお主人公はまったくしゃべらないタイプだが、時折「どちらを選んでも大差ない、一見無意味な選択肢」で会話する。のちにオンラインゲーム等で定番となった手法だが、当時のアドベンチャーゲームでは珍しかったかもしれない。これが他のドラマティックなキャラクターの描写を邪魔していないとも評価できるだろう。

 メインストーリーは比較的コンパクトで、まっすぐに進めばクリアまでには10時間もかからない。しかしサブストーリーがそれ以上に充実しており、クリア前もクリア後も楽しむことができる。人間の投棄したゴミが原因で魚たちに被害が……といった環境問題も描いており、エンターテインメントだけでなく現実の問題も考えてもらいたいという作り手の考えが窺える。

 世界中の海と生物を大きなスケールで描ききり、人の冒険心を掻き立てることに成功した、海洋探索ゲームの代表格と位置づけても差し支えはないだろう。年少者への科学的・情操的教育が期待できるのも見逃せない一面だ。
 本作以降シリーズは長く沈黙していたが、2024年に15年ぶりの最新作『FOREVER BLUE LUMINOUS』が発表された。現在はこちらがもっともプレイしやすいが、可能ならばWiiの実機を手に入れて『海の呼び声』にも手を伸ばしてもらいたい。

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