※画像はiOS版
発売元:サイバード
初出:2010年
サイバードは1998年に設立された、モバイルを軸としたコンテンツサービス・ゲームの提供を主業務とする企業。彼らのコンテンツの中でも最大の人気を誇るのが、女性向けの運営型ゲーム『イケメン』シリーズだ。累計4,500万人もの利用者数*1を記録しており、コンソール作品との単純な比較はできないとしても、この分野では最大手のサービスのひとつと見なして間違いないだろう。
2009年に恋愛ゲーム市場に参入したサイバードは、2010年にシリーズ第一弾の『イケメン大奥★恋の園』をフィーチャーフォン向けにリリースした*2。男女逆転した大奥を舞台に、多彩なイケメンたちと繰り広げられる恋愛を楽しめる――このコンセプトが大ヒットして、以降も戦国や幕末や現代や異世界など、舞台とキャラクターを様々に変えたシリーズが発表されていく。
シリーズの共通点は、基本プレイ無料であること。可愛らしいアバター機能が充実していること。そしてストーリーはチケット(物語券)で読み進めていくことだ。毎日のログインで補充されるこのアイテムで、1日につきある程度は無料で読むことができ、早く先に進みたい場合は課金してほしいというシステムになっている。このストーリーチケットシステムを採用している作品は他にもあるが、その草分け的存在でもあるだろう。
※画像はiOS版
ノベルパート部分はオーソドックスで、時には選択肢も表示される。選んだ答えによって至福の愛か激情の愛かという具合に、その後のストーリーに変化が生じるだけでなくエンディングも複数用意されている。多くの運営型ゲームのストーリーが一本道であることを考えると、なかなか珍しいことだ。
また運営型ゲームの場合、気に入ったキャラクターを見つけてもガチャを回すことでしか入手できないということが多々ある。しかし本シリーズはキャラクターの所持という概念がそもそもなく、勢揃いした恋の相手を自由に決めることができる。特別ストーリーの閲覧については課金しなければならないこともあるが、本編ストーリーについては地道に続けていれば一切課金せずともよく、全員と結ばれることができる。このハードルの低さが、利用者数累計4,500万人という数字に繋がったのだ。
『歪みの国のアリス』でも述べたが、モバイルゲームはコンソール機を持っていない人にもリーチする。女性向け恋愛ゲームという世界にまったく縁がなかった人も、本シリーズがきっかけで知ることができたというケースは少なくないはずだ。このジャンルのユーザー層を拡大したという意味で、『イケメン』シリーズの功績は決して小さくない。
運営型ゲームの宿命としてすでにサービス終了しているタイトルがあり、また今後、いずれすべてのタイトルがその道を辿るであろうことは欠点として挙げられるかもしれない。しかしヒットシリーズだけに関連グッズが多くリリースされており、コンソール移植された作品もある。数多ある女性向け運営型ゲームの中でも、将来にわたって愛好家たちの心に残るシリーズの筆頭格だろう。
© CYBIRD
*1:イケメンシリーズ
https://www.cybird.co.jp/our_business/ikemen/
*2:本シリーズは公式には、スマートフォンアプリ版『イケメン大奥★恋の園』をリリースした2012年をシリーズの起点としているが、本稿ではフィーチャーフォン版を初出とした。
