本記事は2000年代に公開していた自サイト記事の、微調整の上での再掲となる。
多くの人に期待されていたが未完成に終わった作品。
しかし今もなお、そのインパクトは鮮烈だ。
個人サークルLAST WHITEが開発していた『EDEN -最終戦争少女伝説-』。辛口評価が多いエロゲー批評空間において、体験版でありながら80~100点が大半を占めるほど、多くの同人ノベルゲーム愛好家から期待されていた。
メインヒロインのレイプ寸前&核爆弾落下という、絶大なインパクトのオープニングから始まり、「人生終わった」と観念する主人公の回想という形で本編ストーリーが進行する。まさに最初からクライマックスなこの構成が、プレイヤーをクリック(あるいはエンターキー)連打に導いていく。読み終えるまで1回も席を立たないほど熱中することをワンシッティングというが、そんな人も多かったのではないか。
筋としては、本土の南東で発見された御六島にツアー企画として入った主人公たちが、非日常にもほどがある事態に巻き込まれていく。なぜだか滞在していた自衛隊とアメリカ軍の登場に始まり、各感想サイトで大絶賛の「仮面の女」。100個のロケットヘッド。どう物語が展開するのか、まったくもって予想がつかない。
しかしシナリオ以上に、とにもかくにも「仮面の女」のインパクトがとてつもないものだった。作者のセンスがいかにずば抜けていたか、これだけでわかろうというものだ。
ストーリー、キャラクターともに秀逸だったが、個人的に評価したいポイントはメッセージウィンドウの演出。たとえば上に鮮血の画像を重ね、文字を見えにくくする。メッセージウィンドウが一番上という常識を覆した演出だった。そしてメッセージウィンドウそのものを壊し、破壊を表現する。ノベル・アドベンチャーゲームの演出はまだまだ可能性があると思ったものだった。
本作の公式サイトは2012年を最後に更新されなくなった。絵も音楽も単独で作っていたようで、すさまじい負担があったことは想像に難くないが……。今でも体験版はダウンロードできるが、もしかしたら未プレイの人はプレイしないままのほうがいいかもしれない。これほどの作品が未完成だなんて! そんなことばかり考えることになってしまうかもしれないのだ。
© LAST WHITE
LAST WHITEのウェブサイトは2026年現在も残っている。レンタルサーバーとドメインの費用を負担し続けているということで、おそらく作者は健在だと思われるのだが……。しかし以前の活動に完全に見切りを付けてフェードアウトする。個人の事情が最優先される同人ゲーム界では数多く繰り返されてきたことであり、プレイヤーは残念に思いこそすれ、同時にこれで健全だとも思わなければならないだろう。