アライコウのノベルゲーム研究所

ゲームライター・アライコウのノベルゲーム研究に関するブログです。

インディーゲーム

『ひとかた』レビュー:フリー伝奇ノベルの金字塔

『ひとかた』(お竜、PC、2001年)※画像は2003年のMP3版 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 2000年代初期を代表するループ系フリー伝奇ノベル。 シナリオだけでなく楽曲も非常に良質なことで知られている。 全ジャン…

『蝶葬』レビュー:前代未聞の坊主愛憎ノベルゲーム

『蝶葬』(蘆屋、PC、2007年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 ボーズ・ラブ――このワードに当時大きな衝撃を受けた。 しかしこの発想一本の勝利ではなく、細やかに作られた佳作なのだ。 過去、日本国において男色…

『グッバイトゥユー』レビュー:殺人者への袋小路

『グッバイトゥユー』(沢山ソフトウェア、PC、2004年) 本記事は2013年10月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 私が今でも完成を待っているフリーノベルゲームの筆頭。 とにかく本当に面白いので、未プレイの方はぜひ試していただきた…

『天雨月都』レビュー:未完の秀作

『天雨月都』(project天月、PC、2003年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 残念ながら完結しなかった中にも、優れた作品はある。 それを伝えることも、フリーゲーム文化において大事だと思う次第だ。 フリーゲー…

『TRUE REMEMBRANCE』レビュー:記憶を巡る優しいファンタジー

『TRUE REMEMBRANCE』(里見しば、PC、2003年)※画像は2006年の『TRUE REMEMBRANCE-remake-』 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 商業化も果たしたフリーノベルゲームの名作。 心温まるファンタジーを求める人に推奨…

『忘れものと落とし物』レビュー:少年の中の少女

『忘れものと落とし物』(LANGuex、PC、2005年) 本記事は2013年10月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 当時まだ珍しかった、プロのクリエイターによるフリーノベルゲームだが、ゲームならではの仕掛けが見どころだった。 『忘れもの…

『氷雨』レビュー:高難易度の本格ミステリー

『氷雨』(チームゴルボンズ 村田、PC、2001年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 フリーのミステリーノベルゲームの中では有名作。 かまいたちテイストの推理作品をプレイしたいなら第一候補だ。 かまいたちの夜…

『ハーバーランドでつかまえて』レビュー:あなたも神戸が好きになる

『ハーバーランドでつかまえて』(JAM project、PC、2000年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 フリーの恋愛ノベルゲームの古典的名作として知られる本作。 関西出身者であれば、さらに胸に迫る作品ではないかと思…

『遠来』レビュー:異星少女とのハートフルコンタクト

『遠来』(Team NagiKaze、PC、2002年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 2002年当時としては驚くほどの総合度の高さ。 特にAIガールMIKANのキュートさは今も色褪せない。 2000年代、背景素材のやりくりに苦労する…

『少女と囚人のジレンマ』レビュー:選択の囚人となりて

『少女と囚人のジレンマ』(ステッパーズ・ストップ、PC、2002年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 有名なゲーム理論をミニアドベンチャーテイストに仕立てた小品。 しかし小品とはいえ、その切れ味と毒はすさま…

『8月7日の雨宿り』レビュー:癒しの日常物語

『8月7日の雨宿り』(GARA-LAND、PC、2000年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 フリーノベルゲームはこういうのがありなのか、と当時感嘆させられた。 今プレイしてもその作風は貴重だと感じさせられる。 フリー…

『Collage』レビュー:鮮烈なスタイリッシュノベルゲーム

『Collage』(Homegorosi PROJECT、PC、2003年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 これを初プレイした時の強烈な印象は忘れられない。 実は海外の著名ノベルゲームクリエイターも影響を受けたという。 ノベルゲー…

『月代 -SAKAYAKI-』レビュー:抱腹絶倒のちょんまげコメディ

『月代 -SAKAYAKI-』(綾の国、PC、2007年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 これほどの出オチがあるだろうかという、今もなお他の追随を許さないほどのインパクトを誇る作品。大いに笑わせてもらおう。 ノベルゲ…

『ある夏の日、山荘にて……』レビュー:定番&本格的な閉鎖空間ミステリー

『ある夏の日、山荘にて……』(三谷はるか、PC、2006年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 今までプレイしたフリーのミステリーノベルゲームの中でも特に印象深い作品。興味を持たれた方は、ぜひ初回は攻略サイトは…

『サンダーボルト』シリーズレビュー:不条理影絵ノベルの傑作

『君の瞳はサンダーボルト殺人事件 ~太陽はまぶしい星~』(MN2 Factory、PC、2002年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 フリーの影絵ノベルといえばこれ、と未だに語り継がれるほどのシリーズだ。 後述の実況動…

『探し屋トーコ』レビュー:探偵の現実と限界

『探し屋トーコ』(COF*Works、PC、2008年) 本記事は2013年10月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 衝撃を受けたストーリーという意味では、今までプレイしたフリーアドベンチャーゲームの中でも未だに上位に位置している。 どんな内…

『ゲームライズド・ノベル』シリーズレビュー:よみがえる古典

『瓶詰の地獄』(言ノ葉迷宮、PC、2005年)※原作:夢野久作 本記事は2013年10月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 著作権切れ名作のノベルゲーム化の中でも特にハイクオリティなのがこのシリーズ。 自分でも試したいという制作者がい…

『かまいたちの夜<誘惑編>』レビュー:原作者も絶賛した分岐シナリオ

『かまいたちの夜<誘惑編>』(睦月、PC、2003年) 本記事は2013年9月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 フリー・同人ゲームのひとつのジャンルとして定着している二次創作。 ノベルゲームの金字塔たる『かまいたちの夜』もその対象…

『僕はキミだけを見つめる』レビュー:ギャングと歌姫が織りなす現代サスペンス

『僕はキミだけを見つめる ~I gaze at only you~』(れいんどっぐ、PC、2006年) 本記事は2017年8月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 現在は商業ブランドとして活躍するクリエイターたちの同人第一作。 その鮮烈なデビューは今でも…

『杏アフター』レビュー:杏に幸せになってほしい人へ

『杏アフター』(空白症候群、PC、2009年) 本記事は2018年3月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 二次創作かくあるべしというような、良質なifストーリー。 18禁が苦手でなければ、ぜひとも原作ファンにプレイしていただきたい。 ビジ…

『ABYSS—殺人クラブ—』レビュー:暗殺者vs殺人集団

『ABYSS—殺人クラブ—』(Festival、PC、2009年) 本記事は2017年8月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 ゼロ年代のトレンド要素を惜しみなく注ぎ込み、見事結実させた佳作。 そしてそのクオリティ以上に個人的な思い入れがある作品であ…

『The Law of Contradiction』レビュー:奈須きのこが大絶賛したFate二次創作ノベルゲーム

『The Law of Contradiction』(玖次元、PC、2006年) 本記事は2017年8月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 Fate二次創作ノベルゲームの中でも、今でも印象深い作品だ。 あれから長い年月が経ったが、今や『Fate/Grand Order』にバゼ…

『浄火の紋章』レビュー:虚淵玄が唯一作った同人ノベルゲーム

『浄火の紋章』(EERGED、PC、2003年) 本記事は2017年8月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 シナリオを手がけたのは、今や本邦を代表するクリエイターともなった虚淵玄氏。 キャリアの初期にはこんな作品も作っていたのかと驚かれる…

『あなたの命の価値リメイク』レビュー:フリーのノベルゲームの価値

『あなたの命の価値リメイク』(未来色原石、PC、2019年) 本記事は2019年4月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 作者は個人サークル未来色原石の浦田一香氏。当時から現在まで、いじめや児童虐待など一貫して独自のテーマの作品を作り…

『たねつみの歌』発売直前! STUDIO・HOMMAGEの『国』シリーズ全作品レビュー

よくぞこの人を商業の舞台に連れて来てくれた―― その第一報を目にした時に、まず抱いた気持ちがそれだった。 tanetsumi.aniplex-exe.com 『ATRI -My Dear Moments-』『徒花異譚』『ヒラヒラヒヒル』を送り出してきたノベルゲームブランドANIPLEX.EXEが次なる…

『いえのかぎ』レビュー:児童の権利、そしてクズの権利。この主人公だから成立したノベルゲーム

© 活動漫画屋 本記事は2018年5月に公開していたブログ記事の、微調整の上での再掲となる。 この作品について、当時大きな議論が巻き起こったのを覚えている方も多いだろう。 あれから時が経ち、「表現の自由」にまつわる議論がさらに頻繁に交わされるように…

『親愛なる孤独と苦悩へ』レビュー:天の同人作家に捧ぐテキスト

© 楽想目 本記事は2017年8月に公開していたブログ記事の再掲となる。 私がたまたまリアルで知り合い、Twitter上で多少の交流をした、とある同人ノベルゲーム作家の遺作についての記事である。 私がいかに衝撃を受け、感動したか……当時のプレイ直後の熱量を感…