発売元:ハドソン
初出:1992年
大容量を活用し評判を得ていったPCエンジンCD-ROM²のアドベンチャーゲーム群だが、ひとつ弱点があった。それはオリジナルと言える作品がほぼなかったことだ。
実写アイドル系、他機種・海外作品の移植に、何よりも既存の人気漫画・アニメ・小説のゲーム化が多くを占めていた。キャラクターボイスを売りにしているのだからそれ自体は自然な発想であり、固定ファンの購買力を期待できる手堅いビジネスではあったが、いささか発展性に欠けていたことは否めない。
そんな状況で登場したのが『銀河お嬢様伝説ユナ』。ハドソンとレッドカンパニー(現レッド・エンタテインメント)の共同開発による完全オリジナル作品だ。レッドカンパニーはマルチクリエイター広井王子氏が設立した企画制作会社で、PCエンジンではアクションゲーム『PC原人』やRPG『天外魔境』シリーズですでに知られていた。
普通の女子校生だった神楽坂優奈(ユナ)は、友達の応募で出場した「ミス銀河お嬢様コンテスト」で優勝し、人気アイドルとなってしまう。そこから彼女の運命は変わり、宇宙の危機を守るために戦うことに。はたしてユナは全宇宙の平和を守る「光の救世主」になれるのだろうか?
一言で言えばおちゃらけギャルゲーである。可愛い女の子たちによるひたすら明るくコメディチックなストーリーが進行していく。当時はまだ乙女ゲームというジャンルが存在せず、プレイヤーキャラとなるのは男性が多かったアドベンチャーゲームにおいて、少女の主人公そのものが比較的珍しいことだった。原作の明貴美加氏はキャラクターデザインも手がけており、バトルスーツのフィギュアが多数発売されるほどの人気を得る。また、ユナの声優を務めた横山智佐氏は本作がキャリア初期の代表作となった。
画面構成にも特徴がある。ユナの姿を常時映すフレームが表示され、いくつかのパターンがあるのだ。メイン画面とメッセージウィンドウ以外は黒ベタという時代が長かったが、この頃になるとPC、コンソールともに作品に合わせた独自のフレームを採用する作品が増えていた。容量増によるアドベンチャーゲームの発展はこうしたところにも表れている。
これまでのハドソンのアドベンチャーゲームを踏襲したデジタルコミックだが、アドベンチャーパートは例によって低難易度。その代わりとばかりにRPGのような方式のバトルシーンが用意されている。「いぢわる攻撃」「しおらしくする」といったコマンドがお嬢様らしさだ。このバトルもあまり戦略性はなく、勝つのにそう苦労はしない。バトル勝利時の御褒美めいたシーンを鑑賞するのが主眼と言える。
難しく考えず楽しめることを志向した本作は大好評となり、複数の機種で移植、続編が発売された。またOVA、CD、コミック、小説など大幅なメディアミックスが展開された。90年代に名を刻むIPコンテンツのひとつとなり、とりわけギャルゲーという枠組みにおいて、その歴史を振り返るのに欠かせないシリーズである。
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